北の道 5日目
朝起きたら雨が音を立てて降っていました。天気予報ではすぐに止むようでしたが一向に止まないので雨の中出発。
まだ本調子ではなくて立ちくらみがしますが今日はゲルニカに着く日。どうしても歩きたかったのです。ピカソの大作ゲルニカはここが描かれているのです。いつか行きたいとずっと思ってきた街に徒歩100キロかけて歩くことになるなんて思っても見ませんでした。
ボリバルからすぐに道は上り坂になります。雨がざんざん降っていて足元も悪くて具合も悪いて実際の距離より長く感じます。森の中をしばらく歩くと開けたところに修道院がありました。ここでしばらく雨宿りをしたい気分に駆られますがちょっと見ただけでまた進みます。
北の道のバスクの標識はこんなに丁寧です。2つ先の町までの距離がわかります。励まされます。
バスクでよく見るこういう立派な家は左右で別れて2戸になっている模様。
少し見にくいですが、この家の2階にあるバナー。
EUSKAL PRESO ETA IHESLARIAK ETXERA
とバスク語で書いてあります。今は解散したETAというバスクの独立を目指していた過激派な集団があり、独立活動で捕まったETAのメンバーの解放を求めるものだそうです。本当にあちこちでよく見ました。
ここを過ぎるとGerrikaitzという村に出ます。ここで雨が強くなってきたので教会の前のバス停で雨宿りをしました。ふとバスの時刻表をみると、ゲルニカを通りバスがあと30分もしないうちにくるようです。ものすごく心が揺れます。病気だし。雨だし。と、考えていると、巡礼者が通りかかってこちらに小さく手を振って進んで行きます。疲れているのかその歩みもゆっくりで、その姿を見たら私も頑張らなくちゃと思って立ち上がってリュックを背負いました。
すぐにその子に追いついて話をしながら歩きました。イタリア人の男の子で、友達と4人で来たけど、二人は先に行って一人は後から来るそう。昨日の夜は修道院に泊まったよ。とか、凄い疲れた!とか言っていました。ミルコくんというその子は今日のゴールはゲルニカよりちょっと先、と行っていたで頑張ろうね!と言って私は先に行きました。
霞んでいますが景色は綺麗。
16世紀に作られたとされる橋。
霧がかかっていなければ綺麗なんです。
距離的にはもう少しなのに山の中を歩いているせいか全然ゲルニカが見えません。ジリジリしながら歩いていると、少し霧が晴れて来て、見晴らしのいいところに出ました。まさか山を越えた遠くに見える街がゲルニカだったらどうしよう。と思いましたが、違いました。
森を抜けたあたりにあったゲルニカ郊外の町の教会。庭仕事をしていたおじさんがあと3キロだよ!と教えてくれました。
ゲルニカには町の北側から入るのですが、町に入ってすぐに何か食べたいと思ったのですが私のホテルは町の中心部にあるので少し我慢して町を縦断します。通り過ぎるカフェに顔を見たことのある巡礼者がいて何人かに挨拶をしました。
ホテルはレストランの上にあるホテルというより宿で、ネットの予約サイトには散々書かれていましたが、それほど汚くも古くもなくて許容範囲。今回は他にひどいところに何回も泊まりましたからねー。
ゲルニカにあるピカソのゲルニカの複製。
ゲルニカの教会。
町はこぢんまりしていて綺麗です。歩行者専用の道も多くて散策しやすいし。夜ご飯を済ませてホテルに帰るときに、昨日のオランダ人、ハンスとばったり会いました。流石に2200km歩いて来た疲れが溜まったのか、膝が痛くて少し腫れてるから明日は休養日でもう一泊ゲルニカにとどまるとの事。
私は本調子ではないけど今日歩き切って良かったとつくづく思いました。