サンティアゴ巡礼の道をゆく

2018年5月カミーノ プリミティボ、2018年夏に北の道(イルンからビルバオ)2018年11月サンサルバドル。2019年3月北の道(ビルバオーサンタンデール)。次は何処を歩くか検討中。欧州在住。

カミーノ サンサルバドル 第3日目 Poladura de la Tercia - Pajares 〜死ぬかと思った〜

ずっと天気予報をチェックしていたのですが、予報は変わらず

「一日中雨」

とはいえ、降水量は少ないようでした。念のためゲーターとレインパンツをあらかじめ履いておきました。山登りなので完全に明るくなるのを待ってゆっくり目に出発。今日は距離自体はそこまで長くないので焦ってはいませんでした。

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これから登る山に霧がかかっているのが見えますが、とりあえず歩き始めます。相変わらずの急勾配がここでも続きます。一度山を超えてから山肌に沿って回り込んで歩くとこのカミーノ の最高到達点のモニュメントにつきます。

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ここまではまあ大変でだったし、寒かったけど、まあ良かったんです。

ここに着いた頃から一気に天気が悪くなって、雲の中にいるのか、霧かわかりませんが、とにかく視界が悪くなりました。そして標高が高くなった分寒くなり、霧雨が氷の粒になって顔に打ち付けてきます。Buffで目以外の顔を覆って歩きますが、それでも冷たさを感じました。手袋は中厚のものをしていたのですが、防水ではなかったので濡れた手袋で手が冷たくなり、でも手袋を外すともっと寒いという状況の中で歩いて行きます。

 

そして

 

11月の初旬に積もったと思われる雪が残った箇所を通らなければならず(写真を取る余裕すらありませんでした)斜面の残雪なので滑ったら山肌の下の方に落ちてしまいます。表面は固く凍っていて滑りそうで怖いけど、深さはひざ下くらいまであるのではまっても歩きづらく、這うようにしてその場所を抜けました。

 

視界が悪く、寒くて、難所ばかりで、山の中で、そして一人ぼっちで精神的に辛い時間でした。

 

二つ目の峠を超えてゆっくり降りていって森林限界の境界まで来たと思ったら、また登らされたりして、景色が見えていれば見通しが立ったのでしょうが、全く見えないので、まさに手探りな感じです。本当は絶景なはずなのに、視界は50mもない感じ。

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やっと降り切ったところで、放置された納屋が見えて来ました。誰もいないとはいえ、なんか安堵。

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ここで小さな小川を横切ることになっていて、事前情報ではちょろちょろ流れているだけだったのに、ここのところの大雨で割と立派な川になっていて、濡れずに渡るなんて無理!ということで、小細工なしで横切りました。靴はゴアテックスでしたが、完全防水ではないので靴下が濡れました。でもゲーターのお陰で履き口からの水の侵入は防げました。

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安心したら次にもっと立派な川があったんですけどね。

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とにかく、黄色い矢印を見失わないように歩きます。

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突然濃霧の中に家の影が現れてしかもどちらとも廃墟で、ホラー映画みたいでかなりビビりました。。。

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ここで一旦国道沿いに歩いて行くと、カフェがあったのでランチを食べながら濡れた手袋やビーニーを少しでも乾かそうと少しゆっくりました。とにかく寒くてまた外に出るのかと思うとげんなりです。カフェに入る時にスキー板持った人ともすれ違いました。この辺りはスキーリゾートがあるんです。

 

カフェを数十メートル進むとアストゥリアスとの境界を示す表示が。私はスペインの中でバスク地方とアストゥリアスが一番好きです。このカミーノ を歩くのもアストゥリアスを歩けるから。

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本当は黄色い矢印を無視してこのまま車道を進もうと思っていたのですが、あまりの濃霧で運転手から私が見えない危険性があったので、やはり黄色い矢印通りに進むことにしました。

 

 

この残りの数キロもかなり怖かったです。とにかく濃霧。下り道なのですが、とにかく濡れていて滑りそうで、草が生えている斜面ですら草ごとズルッとなります。そんな中、一度矢印を見失ってしまって立ち往生して、最後の矢印まで戻ろうと振り返った時に背後が真っ白で何も見えず、もうだめだー!と思った瞬間もありました。この時、視界は20mくらいだったのでは。

そして森を横切る時には、先の雨で土が水を含んでタプンタプンになっていて、一歩ごとに足が沈みました。本当に、ゲーターがあってよかった!そして、ロストラゲージのせいで持ってこれなかったトレッキングポールがあれば、とこの日は何百回も思いました。

 

そんな思いでやっと着いた村、Pajares。アルベルゲが一件、カフェが一件しかないような小さな村です。着いた時はなんとか全景が見えたのですが、私を苦しめた霧が追いかけてきて直ぐにここも視界が真っ白になりました。

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アルベルゲは例によって施錠されてなくて、そして例によって私は一人きりでした。最初は村のおじさんが一階のサロンで談笑していましたが、私が2階のベッドで休んでいると少しして静かになりました。

大変きれいなアルベルゲで、キッチンはありませんでしたが、洗濯石鹸とかドライヤーとか置いてあって細かいところまで行き届いている印象でした。

夕方(SMSで事前にお願いしておいた)管理人の女性が食事を届けに来てくれました。注意事項などを一通り説明してくれましたが、基本的には他のアルベルゲと同じで、夜内側から施錠をして寝る、朝内側に鍵を差し込んだまま施錠をせずに出発、というもの。今日は辛かった、という話をしたら、私が絶景を見れなかったのを残念がってくれました。霧は山の上の方にかかるから明日のルートは大丈夫じゃないかしら、と言ってました。別れ際にブエンカミーノ といってハグをしてくれたときに、何だか今日の怖さから解放されて泣きそうになりました。

ちなみに、運んで来ていただいた食事はこちら。

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大きさがわかりにくいかと思いますが、とにかく大きくて、中にはとんかつ的なものが挟まっています。すごいボリューム。洋ナシもついて4ユーロ。アルベルゲにあった自動販売機には飲み物やスナックがきちんと補充されており、デザートと明日の朝用にチョコレートなど買いました。

 

今日が一番大変なステージだったはず。あとは下るだけ。霧だったらもう歩かないけど、天気さえなんとかなれば絶対あとは楽。と思いながら寝ました。

 

この考えが、見当違いだったことを翌日知ることになるのでした。