北の道その2 第0日目
パリからビルバオまでのフライトが遅れたんです。
私は小さな機内持ち込みサイズのスーツケースを持っていて、それをカミーノのあとで行くオビエドのホテルに郵便局から送る予定でした。
本来なら19時にビルバオについて、タクシーで20分のポルトガレッテに行けば20時に閉まる郵便局には余裕でつくはずでした。が、飛行機が30分遅れ、タクシーは渋滞に巻き込まれ、見事に間に合わず。
翌日土曜日は9時半に開くそうです。つまり、9時半まで歩き始められないということで、失意の私。
そんな私にタクシーの運転手が
もしかして、巡礼者?カストロウルディアレス、ってところ通るでしょ!僕そこに住んでるんだ。きれいな街だよー!
と話してきました。カストロウルディアレスハ次の日に泊まる街です。楽しみ。
泊まった宿はポルトガレッテのホステルで、巡礼者もいるけどそうでない人も泊まれるところでした。少し遅くなると連絡しておいたのですが宿の人は私を見るなり、なんでかわかんないけど男だと思ってた!と言ってました。、なんで。
宿には観光客、巡礼者のほかに、住み着いてる風のヒッピーや、移民家族風の人たちがいてややカオスでした。なんだったんだあれは。でも宿の人はとても気さくな言い方でした。
お腹が空いていたのですが、カフェバーみたいなところしかなくて、結局ケバブをテイクアウトして食べました。その間中ずっと巡礼者風のドイツ人の女の子が電話で話し込んでいて、その内容がディープだったためますます宿がカオスな感じになってました。
実はこの日、ものすごい距離を移動してヘトヘトだったのでさっさと寝たのでした。
北の道(ビルバオ〜サンタンデール)歩いてきました
北の道のビルバオからサンタンデールまで歩いてきました。
割と簡単かな、と予想していましたが今までのカミーノとはまた違った大変さがありました。全体的な景色ははサンサルバドルとかプリミティボのほうがいいのですが、やっぱり海を見ながら歩ける、というのがとても魅力的な北の道。裏返せば海が見えていないときはかなり我慢の時間です。
今回は今までにない経験もしました。この先、更に北の道を歩きたいかと聞かれたらちょっと考えてしまいますが、今後のことはさておき、一日ずつ振り返ってみようと思います。
今回の相棒
今回のリュック。夏に歩いたときと同じもの。これに4日分の荷物が入っています。これは荷物をめいっぱい詰めると良さのわかるリュックです。背負ったときのフィット感、重さが背中全体に分散されると感じが素晴らしい。
24リットル。荷物が少なくて驚かれますが、私はカメラとか持ち歩かないのでこんなもんでしょう。
カミーノのあとで必要になる普通の服とか靴などの荷物は先にホテルに送っておきます。今は郵便局が開くのを待っています。
早く歩きたい。
すったもんだの末
突然緊急事態が発生して、スペインに行かずにフランスで事態の収束に奔走することになりそうでしたが、なんとか予定通り行けることになりました。
歩くトレーニングはできてませんが、週二回クロスフィットをしてたのでなんとかなるかも。今回は4日歩くだけなのですごい少荷物を目指します!
北の道の続きを歩く
3月上旬に北の道の続きを歩いてきます。今回は時間があまりないので、ビルバオからサンタンデールの間を歩きます。
アルベルゲに予約しようとメールしたら「その時期は巡礼者はほとんどいないので予約は不要です」と言われてしまいました。
確かにシーズンじゃないですよね。でも、私はシーズンオフのカミーノ が好きです。そして冬のサンサルバドルを歩いたのでもう怖いものはありません。あ、北の道のぬかるみは怖いか。
夏にイルンからビルバオまで歩いた北の道はDebaというところから内陸に入り、次に海沿いを歩くのはビルバオを過ぎてからだったので今回は海沿いから始められます。
バスクもカンタブリアも雨が多い地域。一年を通じて雨が多いので、この時期に行けば雨には振られない、という季節がありません。実際、夏も雨の中歩いたし。だったらいつ行っても同じ。むしろ夏は蒸し暑くて辛かったので初春あたりがどんな感じか楽しみです。
サンタンデールに着いたらその日にバスに乗ってオビエドへ行って、いつもの友達といつもの肉の山を食べようと思います。
サンタンデールからそのまま海岸沿いに行こうと思ったのですが、多分サンビサンテから降ってピコスデエウローパに挑んでレオンに合流する道にしようかなと思っています。長くなって難易度も上がりますが。ま、これはいずれ少しずつ。
カミーノ サンサルバドル 冬のカミーノ を考える
というわけで、カミーノ サンサルバドル を歩きました。130kmと、他のカミーノ と比べると短くはありますが、カンタブリア山脈を縦断する難易度の高いルートです。私が調べた限りでは、スペイン国内ではピコスデエウローパを超えるカミーノ バディニエンセ、レバニエゴに並ぶくらいの難易度ではないかと思います。
私はそのサンサルバドル を11月の中旬から下旬にかけて歩きました。
準備をしていた時に、あるペンション(アルベルゲではなく)に問い合わせた時に
「去年は11月に宿泊した巡礼者は5人でした」
と言われました。アルベルゲだともっと多いのかもしれませんが、マイナーなカミーノ の上に、11月はかなりのシーズンオフ。実際に5日間のルートで他の巡礼者には一人も会いませんでした。10月いっぱいならまだ歩きやすいかもしれません。
じゃあ、サンサルバドルに行って後悔しているかというと、全くそんなことはなくて、行って本当に本当によかったと心から思います。
冬(といっても初冬でしたが)のカミーノ は敬遠されがちですが、私はできるならまた晩秋から初冬のカミーノ を歩きたいと思います。
理由は簡単。意外に歩きやすいからです。
日陰のない延々と続く道も冬なら体力を消耗することなく歩けます。人が多くないのでアルベルゲのベッドが埋まる心配をして焦る必要もありません。
ポイントは持ち物と天気ですね。やはり冬には冬のカミーノ の準備が必要です。
サンサルバドル は難しいルートですが、心がかき乱されるほどの絶景を見ることができます。登り切った瞬間に広がる景色に泣くかと思いました。これ以上の景色を他のカミーノ では見ることができないと思い、サンサルバドル が終わる頃には燃え尽き症候群で、これからどこを歩けばこれ以上の達成感が得られるのかと愕然としていました。
でも、しばらく時が経った今、一人きりで山脈の中を歩いていて、氷の粒が顔に叩きつけ、霧で何も見えなくて、もうダメだと何度も思いながらも歩ききったんだからもうどこのカミーノ をどの季節にも歩けるのではないかという自信が出てきました。だから、夏に歩いた北の道の続きをビルバオからサンタンデールまで3月にちょっと歩いてこようかなと思います。
本当はサンタンデールからも北の道を続けていずれヒホンまで出るつもりでしたが、今はサンビサンテというところから南下して、カミーノ バディニエンセ・レバニエゴを歩いてピコスデエウローパの方に行ってからレオンまで歩くルートにしようかなと思っています。
復職までもう少しなので、すぐには達成できないかもしれませんが、少しずつ歩くカミーノ をライフワークにしようと思っています。
カミーノ サンサルバドル 第5日目 Pola de Lena〜Oviedo
レオンからオビエドに伸びるこのカミーノ サンサルバドルからオビエドを経て、プリミティボや北の道からサンティアゴを目指す人もいるのですが、サンサルバドルはオビエドで終わります。というわけで最終日。
迷ったのですが、舗装された道で割とつまらないという話を聞いていたので、Pola de LenaからMieresまでは電車に乗りました。Mieresから丘を3つ超えてオビエドを目指します。
最初の丘を越えたところにあるOlloniegoという街のカフェで朝食を食べます。
カウンターで話したりテレビを見たりする地元の人の様子を見るのが好きです。
この日の朝は寒かったのですが天気が良くなりそうな気配がしました。この村を抜けると2番目の丘を登ります。結構な急勾配ですが、超えてきた山脈に比べれば可愛いもんです。
2番目の丘を登りながら見えた景色。朝の霧がもう少しで取れそうな感じ。
この石の道はローマ時代からあるとかいう話ですが、敷き詰められた石が大きくて大変歩きにくい上に、例によって雨が多かったためほぼ小川状態になっている中進んでいきます。が、もうすぐオビエドということが大きな励みになり、ひたすら進みました。
二つ目の丘を登りきったあたりで、状態のいいオレオをいくつか見ました。
二つ目の丘を超えて初めてオビエドがみえました。モンテデゴゾと呼びたい気分です。
3つ目の丘は低めでアストゥリアスらしい景色に癒されながら歩きました。
私はカミーノ を歩く中で一番苦手なのが、大きな街の前にある工業地域です。サンティアゴデコンポステーラでいうと、空港の脇とか、モンテデゴゾを降りた幹線道路のあたりですね。
ところが、今回は南側から来たのですが、3つ目の丘を越えてちょっとずつ民家が増えてきたと思ったらすぐにオビエドの街に入りました。高架になっている道路の下を歩いただけで、ギリギリまで放牧された牛がいるような道でした。
オビエドは個人的に何回か足を運んでいる街で知っているつもりでしたが、南側は初めてでキョロキョロしながら歩いていると、よく知っている旧市街に入り、ほどなくして大聖堂に到着。この大聖堂の名前こそサンサルバドル。
サンティアゴに続く2つのカミーノ を繋ぐ短めのカミーノ というのはサンサルバドル以外にいくつも存在しています。バイヨンヌからパンプローナとかイルンからブルゴスとか。ただ、このサンサルバドルが特別なのは、サンティアゴでもらえるようなSalvadoranaという証明書をこの大聖堂で発行してもらえるのです。ちなみにクレデンシャルもサンサルバドルのみの独立したものがあります。聖堂の奥にあるショップで証明書を発行してもらいました。
クレデンシャルがあると入場料が無料とのことでしたが、13時で閉まるギリギリだったので長居はできませんでした。
教会のメインの部分も美しいのですが、以前友人と一緒に来た時に、聖室(カマラサンタ)を見学しました。イベリア半島がイスラム勢力に支配されていた頃、オビエドだけが唯一その支配から逃れていて、そのせいでスペインを始め、キリスト圏から大切な文化財が運ばれ保存されたのがこの教会だったのです。それを見るためにカンタブリア山脈を超えて巡礼者がオビエドに訪れた道が、私が歩いたカミーノ サンサルバドルというわけです。
今はそんな歴史をあまり感じさせない普通の地方都市ですが、私はとにかくこの街が大好きなんです。ちょうどいい大きさで自然に囲まれていて人がきちんとしている印象。
ホテルは大聖堂からほど近いホテルですでに何回か泊まったことがある定宿です。
醤油っぽいものが食べたくなり、夜は寿司を食べに行きました。真ん中の黄色い細巻きはたくあんかと思ったらパイナップルだし、甘エビにはマスタードは塗ってあるし、なかなかユニークな感じでしたが、私が普段住んでいる国ではこのレベルの寿司(魚介類)すら手に入らないので大変ありがたくいただきました。