サンティアゴ巡礼の道をゆく

2018年5月カミーノ プリミティボ、2018年夏に北の道(イルンからビルバオ)2018年11月サンサルバドル。2019年3月北の道(ビルバオーサンタンデール)。次は何処を歩くか検討中。欧州在住。

第6日目 カストロ〜フォンサグラダ 21.6km

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この日はペンションの素敵な朝ごはんから始まりました。手作りのジャムが並んで、厚切りの焼きたてトーストが一枚食べ終わるたびに、わんこ蕎麦のように盛られます。パンを2枚食べて席を立とうとすると、ペンションの奥さんがケーキとかマドレーヌはいらないの?と聞かれましたがお腹いっぱいでした。

朝食込みで50ユーロ。高いです。でもその価値がある素敵な宿でした。
私が出ようとすると、もう一組の宿泊客が朝食に降りてきたところでした。同じく巡礼者でアメリカからの少し年配のご夫婦。ご主人の方は寡黙な感じでしたが、奥さんの方はとても上品で優しい印象の方でした。私が足が痛いと言ったら、無理をしないでタクシーを使ったほうがいい、と盛んに勧めてくれました。が、今日はアストゥリアスからガリシアに入る日なのでどうしても徒歩で越えたかったのです。ただ、足への負担が減るように、荷物のトランスポートサービスを頼みました。

 

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カストロを離れてすぐの景色。

 

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森の中の道。割と平らな道で歩きやすかったです。

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少しすると車道に出て、緩やかに登っていきます。霧がかっていて景色はよく見えないのですが、こういう車道の道は晴れていたら日陰がなくて辛いので、霧の中黙々と進んでいきます。Don't STOP believing

ふと後ろの方がから大きな話し声が聞こえます。振り返ると霧の中に人影が見えますが一人だけ。疲労がピークに達して心が折れてしまったのか、と思って関わり合いにならないようにしようとか思っていると、それは犬を連れた巡礼者でした。

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あっという間に私を抜き去って行きましたが、この車道を逸れて森の道(上り坂)に入る手前で、衣服の調節をしているところに追いついて、暑いんだか寒いんだかわからないですね、と言葉を交わしたときに聞いたところによると、4歳の雌犬を連れてバルセロナから2ヶ月かけて歩いてきたそう。私が驚くと、クレイジーだよね、と自嘲気味に笑っていました。

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犬の着ているベストには雨具と車から見えるように反射鏡が付いていました。

 

相変わらず足の調子が良くなくて、足を引きずるようにして歩きます。距離が長くなればなるほど痛さは増していきます。そんな中、今日も丘を登らされて、ヒーヒー言いながら登り切ると、スペイン人が一人立っていて、私に気がつくと「すごくいい景色だから一人で味わって」と言って去っていきました。

その時の景色がこちら。

 

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私はこの景色を見たときに、なぜが急にブワッと涙が溢れてきました。もっと標高の高いところや、見晴らしのいいところや、フォトジェニックな景色は今までにもあったのに、なぜかここで。

そこからまた少し歩くと、ついにアストゥリアスとガリシアの境界がありました。

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この写真は撮ってすぐにオビエドの友達に送りました。彼らがオビエドにいたから私はプリミティボを歩きたいと思うようになったので、そのアストゥリアスを離れるのは少し寂しく心細かったです。

しかし、ガリシア、さすがです。ガリシアに入った途端、コンチャ(貝)の標識が新しくて残りの距離まで表示されるようになりました。しかも数百メートルおきに確実にこれがあります。

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ガリシアに入って初めてのカフェ、ということで有名(?)なカフェで一休みしました。ブラジル人二人組も休憩していて、足の調子はどう?といつもの挨拶代わりの会話をしました。私が相変わらず痛くて辛いと言ったら、二人のうち一人が私の足にワセリンを塗ってくれて、つま先を保護するためにテーピングまでしてくれました。なんて優しいんでしょ。
私が出発する直前にメキシコマダム達も到着して、再会に大喜び。カフェのオーナーがフォンサグラダまであと11km、と教えてくれましたが、ここからが一気に辛くなりました。

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遠くの丘に見える街が今日の目的地です。ぐるっと回り込む感じで歩いていきます。この辺りから一気に蒸し暑くなり、体力もどんどん消耗します。一度小さな集落で休みましたが、それでも足は痛くて痛くて進んでいる気がしません。あと6kmというところでレストランがあったので、とりあえずしっかり食べようと思ってお昼のセットを頼みました。

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飲み物、サラダ、バッファローチキン、フレンチフライ、アイス、というセットで12ユーロとか?だった気が。食べきれませんでした。途中で朝会ったアメリカ人の夫婦と一緒になりました。

そして最後の6kmのうち半分以上が、私の嫌いな車道と平行した日陰のない道でした。最後に車道から逸れて街に向かって行くのですが、どうも様子がおかしい、と思ったら街はかなり高台にあり、猛烈な坂道を最後の1キロで登らなけれなならなかったのです。平坦な道を歩くのでもやっとなのに、容赦ない急勾配を登るなんて無理!と思いながら登っていると、後ろから昨日見かけたドイツ人の女の子が来たので、ゼーゼー言いながらもお喋りして歩きました。彼女はこれが2回目のカミーノ で、一回目はフランス人の道をやったとか。

「フランス人の道はね、プリミティボに比べたら集団散歩みたいに楽なのよ!」

と言っていたのが可笑しくて、最後の力で大笑いしました。本当にプリミティボは距離は短いくせに、本当にキツいです。

 

今夜は私設のアルベルゲに泊まります。レセプションの人が物凄く優しいアルベルゲでした。私は6人部屋で、さっきのドイツ人、クロアチア人、アメリカ人二人、スペイン人という構成。

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アルベルゲの外に座っていたら、足の長いスペイン人と会って、今日は何時についたの?みたいな世間話をしていて、私が「想像よりきつくてビックリしてる」と愚痴ったら、その人が「プリミティボはきついけどその分景色もいいし、人も多くないから静かに歩けていい道だよ。もうすぐフランス人の道と合流してそうしたら一気に雰囲気変わるから今のうちに静かなのを楽しんで!」と言われました。

 

夜は同室のドイツ人とクロアチア人とドイツ人おっさん3人組とレストランに食事に行きました。みんな疲れていて妙なテンションで、くだらないことで大笑いして、歩けばみんなアヒルみたいにしか歩けず、お互いを笑って、ヘトヘトでお腹いっぱいで、楽しい夜でした。

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